宅地建物取引士とは?
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産取引に関する専門知識を持ち、宅地建物取引業(不動産業)において重要な役割を果たす「国家資格」です。不動産の売買・賃貸・交換などの取引を行う際に、法律や契約に関する説明を行い、消費者を保護する役割を担います。
そのため、この宅建士にになるための宅建試験は、一定の専門知識を持つ専門家である宅建士として業務を行うための「国家資格試験」となります。
不動産取引において重要な役割を果たすため、法律、税制、取引慣行など幅広い知識が求められ、基本的な民法も勉強します。
試験は毎年10月に実施され、合格率はなんと驚異の約15~17%と、決して簡単ではありません。
直近の令和6年は18.6%。。。。。
しかし、その分、取得することで得られるメリットは大きく、不動産業界を始め、いろいろな分野でのキャリア形成において強力な武器となります。
私は、一昨年から縁あって、日建学院様宅地建物取引士の試験対策をやらせてもらっている。
宅建(たっけん)と聞いたことがある方も多いかと思うが、「宅地建物取引士」が正式な名称となる。
この資格は建築士といった専門的な試験と違い、「受験資格がないことも魅力の資格」だ。
専門学校卒、その業界で7年の経験、、、、などといった高い敷居がないため、挑戦したいという気持ち意思さえあれば受験できるのである。
簡単過ぎず、難し過ぎず、ある程度努力をすれば合格できるという、なんとも面白い資格である。
この宅建をプロとして2年間教えた立場から、色々と感じたことを共有していきたいと思う。
宅建士でなければできない独占業務
なぜ宅建士の資格を取ると就職に有利なのか。なぜ資格補助ができるのか。なぜこの資格を保有していいないといけないのか。
それは、宅建士でなければできない独占業務があるからです。また、宅建業者(不動産会社)は、事務所ごとに「5人に1人以上」の宅建士を設置する義務があるため、この資格は不動産業者にとってまさに生命線と言える資格なのです。
【宅建士の主な役割】
- 重要事項の説明
不動産取引の際、契約前に買主や借主に対して「重要事項説明」を行う義務があります。
(例:物件の法的制限、契約条件、権利関係、リスクなど) - 重要事項説明書への記名・押印
重要事項説明を行った後、その書類に宅建士が記名・押印する必要があります。 - 契約書(37条書面)への記名・押印
売買契約や賃貸借契約などの契約書にも、宅建士の記名・押印が必要です。
宅建の資格が役立つ職業・業界
【不動産会社】
不動産仲介業(売買、賃貸)、ディベロッパー、ファンド、リート、管理会社等、不動産業界に携わる上で、宅建を持っていると非常に仕事の幅が広がります。
【証券会社】
証券会社に勤めている方でも宅建を保有されている方が多くいらっしゃいます。証券会社では不動産営業部といった不動産を扱う部署があるところもあり、この資格が活かせる場合があります。
【銀行関係】
銀行は住宅融資、不動産担保ローン、事業資金の貸し出し、抵当権の設定、担保価値の把握等、住宅に関連する業務が多くあるため、宅建を取得する銀行マンも多くいらっしゃいます。
【保険会社】
火災保険・地震保険の提案、不動産投資向けの保険提案、住宅ローン・団体信用生命保険(団信)との関係等、保険を考慮する際は、資産の防衛、税金対策といった面もあり、資産の多くを占める不動産に関して理解を深めることと等、この資格が活かせる場合があります。
【国家公務員】
市役所、県庁、政府機関等、用地買収、市県有地の売却等、不動産に携わる部署が多くあります。都市計画課、建築指導課、財産活用課といった部署は、不動産会社と仕事をする機会も多く、実際に不動産の売買にかなり近いポジション部署も多くあります。また、税金関係では、不動産取得税、固定資産税といった税金周りも不動産知識がないと、対応できないという場合も多くあり、この資格が活かせる場合があります。
宅建を取得することによるメリット
- 不動産業界での就職・転職に有利(業者に必須の資格)
- 独立・開業の道もある(宅建士がいれば不動産業者として開業可能)
- 賃貸・売買の知識が身につき、日常生活にも役立つ
- 資格手当がもらえる企業も多い(月1~3万円ほど)
さらに、近年、資格を取得したけれども、別に不動産業界にはそれほど興味がないからという方も多くいらっしゃいます。これはまさに時代の流れと思います。
でも、資格を取得してすぐに使わなくても、いつか何らかの形で資格を持っているということがプラスに働きます。これは、どういうプラスかは皆様の業界によって変わりますが、資格の特性上、民法や税法を基本だけではありますが勉強するため、少し難しい話、例えば相続だったり、税金の話であっても、自分で考えたり、自分で調べたり、自分で解決できるよう努力できるようになります。
万が一、働き先がなくなった場合も、宅建を持っていれば、少しは就職先のオプションが増えるかもしれません。
私自身も、この資格に何度も助けられた一人です。
カナダにいる時も、アメリカにいる時も、この資格を持っているお陰で信用力あったり、プレゼンに説得力が増したりといった効果があったと思います。
日本に帰ってきてからも、不動産業を開業できたのもこの資格のお陰であります。
私のような平凡で、平均値で、普通の人ほど、宅建は保険となり人生を切り開く一歩となり得ます。
悪いことをしなければ、一生無くならない資格であるのも魅力の一つ。
だからこそ、自分は要領が悪く、何も誇れるものがない、平凡だ、普通だ、他の人より劣っている。という方に挑戦してもらいたい資格です。
これを保有したから、明日から金持ちになれるわけでもないし、資格を持ったからどうこうなるというものではないです。
ただ、人生のステージを1つでも上に上げるために、また、大変コスパの良い資格であると身をもって実感しております。